2015年3月1日日曜日

新株予約権の会計処理

超久しぶりの簿記解説記事です。久しぶり過ぎて、感覚が取り戻せません(笑)。なので今回の記事はリハビリも兼ねています。

新株予約権は会社法第2編(株式会社)第3章(新株予約権)にてあれやこれやが定められています。でも読み始めると深みにはまって混乱するだけなので、そこは「ふーん」で構いません。新株予約権とは何か。ひょっとしたら語弊があるかもしれませんが、株を買うための前払金みたいなもんだと思います。そしてその前払金は戻ってこないお金です。

ある会社が10,000円で新株予約権を発行したとします。受取は現金です。すると以下のような仕訳になります。

勘定科目(借方) 金額(借方) 勘定科目(貸方) 金額(貸方)
現金 10,000 新株予約権 10,000

ちなみに新株予約権は株主資本、評価・換算差額に並ぶ純資産項目の一つです。なんか、仕方なく浮いてる感じがしますが、そこは割り切りです。そもそも純資産なんて名前自体、「資産 - 負債」という意味でしかないので。つじつまあわせってやつです。

さて、そんな新株予約権がもし満期まで放置されたらどうなるか。発行会社としては何もしないで丸々お金をもらえたので、きちんと利益として計上します。

勘定科目(借方) 金額(借方) 勘定科目(貸方) 金額(貸方)
新株予約権 10,000 新株予約権戻入益 10,000

■新株予約権が行使されて、新株を発行した場合

当たり前ですが、新株予約権はその権利を行使される場合があります。その際には権利者に事前に決められた額で株を渡してあげないといけません。方法は3通りあります。1つは本当に新株を発行する方法。もう1つは自己株式を処分する方法。そして、その両方を組み合わせる方法です。簿記1級の試験では最初の2つの方法が問われます。組み合わせる方法では自己株式の処分差損益によって処理が変わってくるので、ちょっと難しいのですね。具体的には僕も未学習です。

まずは新株を発行する方法から見ていきましょう。新株予約権を行使して、株を20,000円で買ったとします。その際、資本金計上額を会社法規定の最低額とします。要は株の購入代金(新株予約権を購入した分も含めて)は資本金と資本準備金で半分こにしなさいよ、という意味です。

勘定科目(借方) 金額(借方) 勘定科目(貸方) 金額(貸方)
現金 20,000 資本金 15,000
新株予約権 10,000 資本準備金 15,000

■新株予約権が行使されて、自己株式を処分した場合

自己株式というのは名前の通り、自分とこの会社の株のことです。自分とこの会社の株を外部の投資家ではなく、会社保有とすることを言います。財務諸表では自己株式は純資産の部でマイナス(△)表示されるところですが、分かりにくいので資産の部にあるようなイメージで考えるのが良いです。

自己株式は処分、もしくは消去することが出来ます。処分と消去の違いは、株を外に放出するか、それとも消してしまうかという違いです。なので「処分」というと、無くなってしまうような響きがありますが、意味合いとしては株の発行と同じです。

新株予約権では20,000円かかる株ですが、自己株式では18,000円であったとしましょう。すると以下のような仕訳になります。

勘定科目(借方) 金額(借方) 勘定科目(貸方) 金額(貸方)
現金 20,000 自己株式 18,000
新株予約権 10,000 その他資本剰余金 12,000

自己株式の処分で発生した差分は、その他資本剰余金を増減させることで調整するというのがポイントです。新たに株を発行したわけではないので、資本金を増やしたりしてはいけません。(組み合わせる方法の場合だと、株を発行しても資本金を増やさないパターンがあります)

そもそも既存の投資家は株を新たに発行されることを好まない傾向があります。増資には希薄化効果があるからです。例えば会社に100万円の価値があって、株が100株発行されていたとします。株価は1万円です。ここで100株が新たに発行されたとします。極端な例として、株価が5千円だったとします。すると会社の価値が150万円で株は200株ということになります。すると元々の株主は1万円の株を持っていたのに、7,500円にまで価値が下がってしまいました。価値が薄まってしまうので、これを希薄化と言います。

会社が増資をするのは新たな投資のためです。その投資が納得いくものであれば、株価も上がる可能性が高く、投資家も納得出来ます。でも何の投資先も無いのに、とりあえず増資とかされたら投資家としては疑問符を投げざるを得ません。増資して国債を買うとかいった会社も世の中にはあるのです。