2012年9月8日土曜日

全部原価計算と直接原価計算の違い

ネットで検索すると、全部原価計算と直接原価計算の違いを説明してくれるところは沢山あります。でもその多くが丁寧な解説を心掛けるあまり、むしろ分かりにくくなっているなあと感じました。僕の理解は簡潔です。固定費を売上のタイミングで計上するのが全部原価計算固定費を最初から計上するのが直接原価計算なのです。簡単な数字で説明しましょう。


【条件】
カップヌードル1個1,000円(原価200円 内 変動費100円 固定費100円)
固定費の基準製造原価3,000円(30個×100円)

■全部原価計算
ここから、カップヌードルを10個作って、5個売れた場合の計算をしてみます。まずは全部原価計算の場合。どんな損益計算書になるでしょうか。

5個売れたので売価を掛けて5,000円の売上。売上原価は売上数5個に変動費と固定費を合わせた額を掛けて1,000円です。原価差異とはなんぞやということですが、これは本気出せば作れた数量を作らなかったために発生した固定費の操業度差異というやつです。絵で見ると分かりやすいので下の画像をどうぞ。


つまり、固定費は3,000円なのに10個の原価だけ見てると2,000円足りてないわけです。それだと困るので、原価差異という名目で差し引いてあげるわけですね。そして上の売上原価を見てもらうと分かるように、固定費が500円計上されないままになっています。売上が立つまで固定費を計上しない。それが全部原価計算なのです。ためしに最後まで売り上げた場合の損益を見ておきましょう。

これで最終的な営業利益は3,000円となりました。この後説明する直接原価計算においても最終的な営業利益は3,000円となります。そのことを記憶に留め、直接原価計算について見てみましょう。

■直接原価計算
その他の条件を全部原価計算と全く同じに損益を確認します。

固定費を売り上げが立つ前から計上しているので、全部原価計算よりも営業利益が低くなってしまいました。このままだと全部原価計算で損益を出した方が有利のように見えますが、これはあくまでタイミングの問題なのです。同様に全て売り切った時の損益を見ます。

営業利益は1,500円+1,500円で3,000円になりましたね。どちらを採用するかは会社の考え方次第というわけです。この結果から、損益計算書を操作しやすいのは全部原価計算と直接原価計算のどちらになるでしょう。

■全部原価計算と直接原価計算の違い
今度は、売れた数等は変えずに、投入量を10個から20個に増やしてみましょう。

全部原価計算の場合

直接原価計算の場合

直接原価計算の営業利益は10個生産した場合と同様の1,500円。それに対して全部原価計算の営業利益は2,000円から3,000円に膨れ上がりました。これはどうしてかと言うと、費用を先送りにしたからです。なので損益計算書上、高い営業利益を出していても棚卸資産が膨れ上がっているような会社は要注意ということです。

まとめ。 固定費を売上のタイミングで計上するのが全部原価計算、固定費を最初から計上するのが直接原価計算。全部原価計算では投入量の増減によって営業利益を操作出来るが、直接原価計算では出来ない。このあたりをしっかり理解して試験に臨みましょう。

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