2012年10月16日火曜日

超簡単な歩留差異と配合差異

歩留り(ぶどまり)」という聞きなれない言葉のせいか、歩留差異と配合差異がどういうものなのか、とっつきにくい印象がありました。でもじっくり時間をかけて読み解くと、なんだそんな単純なことだったのかと拍子抜けするくらい簡単でした。以下、僕なりの方法でその理解の仕方を説明しましょう。

「歩留り」の反対の意味を表す言葉を「歩減り(ぶべり)」といいます。これは、モノを作る途中で減ってしまった材料のことを言います。例えば液体原料だと蒸発したり、固体の材料でもクズが出たりしますよね。そういった諸々を歩減りと言います。逆に歩留りは、最後まで残った材料のことです。原料や材料を使いきった場合、歩留りはすなわち完成品のことなのです。

ではここで簡単な例を出してみます。1個80gのおにぎりを10個作ります。お米は1gで0.7円とします。なので単純に考えると80g×10個×0.7円=560円になりますね。でも800gで済むところを実際には900gも使ってしまったとします。すると(800g-900g)×0.7円=△70円という差異(損失)が発生してしまいました。これが歩留差異です。一応、図にするとこんな感じ。


これだけ見ると凄まじく簡単だということが分かると思います。じゃあなんで教科書だと難しく感じてしまうかと言うと、それは最初から配合差異を一緒に勉強してしまうからです。歩留差異をきちんと理解していれば、どっちがどっちだったかなんて混乱することはまずないと思います。

配合差異という言葉から、なんとなく材料の組み合わせ(配合)が関係しそうだというのは分かりますよね。いったい何の差異なのかを端的に言うと、実際歩留と実際消費の差異となります。またおにぎりを例に出して説明しましょう。

今度はおにぎりを二種類のお米を使って作ることにします。0.7円の魚沼産コシヒカリを300g(210円)、0.5円の会津産コシヒカリを500g(250円)で合計460円が標準原価です。しかし実際には0.7円の魚沼産コシヒカリを350g(245円)、0.5円の会津産コシヒカリを550g(275円)で合計520円も使ってしまいました。すると差額は60円となりますが、この60円を歩留差異と配合差異とに分けて考えることが出来るのです。そのためにはまず、実際歩留がいくらなのかを計算する必要があります。

標準原価で得た材料の量を標準歩留と言います。例に従えば、魚沼産コシヒカリが300g、会津産コシヒカリが500gで3対5の割合(配合)となりますね。全体の実際消費量にこの割合を掛けたものが実際歩留なのです。

魚沼:900g×300g÷800g=337.5g
会津:900g×500g÷800g=562.5g

これを元に図をこしらえるとこうなります。


これで完璧です。配合差異を見ると、魚沼産コシヒカリ使いすぎなのが一目瞭然ですね。ああ、なんだかお米が食べたくなってきました

2012年10月14日日曜日

吸収合併の仕訳まとめ

吸収合併と一言で言っても、状況によって色々な仕訳が登場します。簿記1級的に吸収合併の仕訳についてまとめておきます。全部パーチェス法です。

■基本
例 A社はB社を吸収合併します。B社は諸資産1,000円、諸負債200円。B社を吸収合併するためにA社は株式を100株(時価12円)発行することになりました(B社株式100株と引き換え)。増加する株主資本の内半分を資本金に、もう半分を資本準備金とします。

まずはB社の諸資産と諸負債を計上します。


続いて増加する株主資本を計算し、のれんを算出します。

増加する株主資本:100株×12円=1,200円
のれん:1,200円-(諸資産1,000円-諸負債200円)=400円


そして最後に、資本金と資本準備金を計上して完了です。

資本金:1,200円÷2=600円
資本準備金:1,200円÷2=600円


■段階取得の場合
例 A社はB社を吸収合併します。B社は諸資産1,000円、諸負債200円。B社を吸収合併するためにA社は株式を100株(時価12円)発行することになりました(B社株式100株と引き換え)。増加する株主資本の内半分を資本金に、もう半分を資本準備金とします。実はA社はB社の株を10株(簿価10円)を取得済みでした。

まずは諸資産と諸負債、それと取得済みのB社株式を計上します。


続いて増加する株主資本を計算し、のれんを算出します。

増加する株主資本:(100株-10株)×12円=1,080円
のれん:(1,080円+B社株式100円)-(諸資産1,000円-諸負債200円)=380円


そして最後に、資本金と資本準備金を計上して完了です。

資本金:1,080円÷2=540円
資本準備金:1,080円÷2=540円


■自己株式を処分する場合
例 A社はB社を吸収合併します。B社は諸資産1,000円、諸負債200円。B社を吸収合併するためにA社は株式を100株(時価12円)発行することになりました(B社株式100株と引き換え)。増加する株主資本の内半分を資本金に、もう半分を資本準備金とします。その際、自己株式10株(簿価10円)を処分することとしました。

まずは諸資産と諸負債、それと自己株式を計上します。


続いて増加する株主資本を計算し、のれんを算出します。

増加する株主資本:100株×12円=1,200円
のれん:1,200円-(諸資産1,000円-諸負債200円)=400円


そして最後に、資本金と資本準備金を計上して完了です。増加する株主資本から、自己株式分を差し引いて計算します。

資本金:(1,200円-100円)÷2=550円
資本準備金:(1,200円-100円)÷2=550円


■合併交付金がある場合
例 A社はB社を吸収合併します。B社は諸資産1,000円、諸負債200円。B社を吸収合併するためにA社は株式を100株(時価12円)発行することになりました(B社株式100株と引き換え)。増加する株主資本の内半分を資本金に、もう半分を資本準備金とします。その際に合併交付金を100円支払うこととしました。

合併交付金というのは、端数を調整するために支払うお金のことです。会社を吸収する時に、消滅企業の株主に株を発行するのですが、合併比率の影響で余りが出てしまうことがあります。そういった端数を無くすために、端数部分は現金を支払うことで対応することがあります。それが合併交付金なのです。

まずは諸資産と諸負債、それと合併交付金として現金を計上します。


続いて増加する株主資本を計算し、のれんを算出します。

増加する株主資本:100株×12円=1,200円
のれん:1,200円-(諸資産1,000円-諸負債200円)+合併交付金=500円


そして最後に、資本金と資本準備金を計上して完了です。

資本金:1,200円÷2=600円
資本準備金:1,200円÷2=600円


どれも微妙な違いですが、その微妙なところで間違えぬよう注意したいところです。

合併比率の算定(資本還元率の使い方)

会社が合併する際に、株式を何対何で割り振るかを決めなければなりません。これを合併比率と言います。この合併比率、実際にはガラガラポンで計算出来るものではなく、政治的な駆け引きもありつつ最終的に決められます。これは企業価値というものを計算するのがとても難しいからです。なので財務諸表を持ち出してきても、合併比率がどうなるかを正確に算出することは出来ません。とは言え、ある程度なら計算で合併比率を決めることが出来ます。簿記1級ではごくごくシンプルに、資産、利益率、還元率の3つを利用して企業価値を求め、その比率を合併比率とします。


A社が吸収する側の合併とします。もし合併比率が単純に、企業の資産額を元に算出されるとしたらどうでしょう。A社は1株100円、B社は1株160円となります。合併比率は160÷100=1.6となります。しかし表を見てもらうと、平均株主利益率はA社が10%なのに対してB社は2%しかありません。つまりA社の方がB社よりも稼ぐ力があるということです。それを無視して合併比率を決めてしまうのは不公平ですね。そこでまず、資産に対してどれくらい儲けられるかを見てみます。


純資産額に平均株主資本利益率を掛けてやることで、実際の利益額を算出します。そしてその利益額を資本還元率で割り、それだけの利益を得るにはいくらの資産が必要か(収益還元価値)という逆算をしてやるのです。上の例で言えばB社は資産1,600円もあれば済むところを8,000円もかけているので、非常に効率が悪いという結果になりました。

ここから先は問題文の指示に従って計算すればOKです。例えば時価による純資産額と収益還元価値とを足して2で割り、資産の平均値を出します。それを株数で割ってやれば、1株あたりの企業価値が算出されます。

A社:(10,000円+10,000円)÷2÷100株=100円
B社:(8,000円+1,600円)÷2÷50株=96円
合併比率:96円÷100円=0.96

自己受為替手形と自己宛為替手形の違い

掛けで売上が立った場合に使う勘定が「売掛金」です。しかし売掛金には期日が無いので、実際にお金が振り込まれるのがいつになるのか不安になる。そんな時に相手先に出してもらえると嬉しいのが「受取手形」。手形にすることで期日がしっかりと明示され、お金がいつ手に入るのかが確かになります。手形は破ってしまうと「不渡り」となり、それはもうビジネスにおける信用を完全に失ってしまいます。そんなわけで世の多くの企業は不渡りを出さぬよう一所懸命なのですよ。

手形を出すには当座預金を作らねばなりません。しかし会社の規模が小さく、信用がまだ低い場合には当座預金を作れない、つまり手形を発行出来ないなんてこともあります。しかし売った側としては手形を貰って安心したい。そんな時に活躍するのが自己受為替手形です。A社がB社に100円の売掛金があって、これを受取手形にしたいという状況を見てみましょう。


つまり、手続きがちょっと変わるということで、実際の仕訳は同じになります。簿記の問題で自己受為替手形が出てきたら、文章の読解力が試されているということでしょう。ところでこの自己受為替手形は、受取人を自社の支店とすることが出来ます。


以上が自己受為替手形についての説明です。続いて自己宛為替手形とはなんぞやという話。自己受為替手形が自ら売掛金を受取手形に変える手続きであるのに対して、自己宛為替手形は自ら買掛金を支払手形とする手続きです。とだけ言うと、普通に手形を振り出すのと何が違うんだって話になりますね。自己宛為替手形の特徴は、本支店会計で発揮されます。A社がB社に100円の買掛金があって、これを支払手形にしたいという状況を見てみましょう。


なんで本店から直接ではなく、支店を経由した取引をするかと言うと、取立手数料を節約するためと言います。上の例で、A社本店が東京にあり、A社支店とB社が大阪だった場合、遠隔地でのやり取りは必然的に銀行経由の取立手数料がかかってしまいます。近場であれば支店の人間が、取立日の1日前に銀行に持っていくことで、取立手数料を無しに出来るのです。これが自己宛為替手形です。

このあたりはややこしいので、絵で覚えるのが一番早いだろうと思います。上の図では、矢印の先が全て受取手形になるようにしました。また、「名宛人」「指図人」の表現はちょっと混乱しやすいので省いています。

2012年9月30日日曜日

減債基金と減債積立金の違い

減債基金と減債積立金という用語があり、どちらも債権をきちんと償還できるように準備しておくというものです。用語の説明はこんな感じになっています。

減債基金

減債基金とは、債券の発行体が債券の償還に備えて償還金を積み立てる基金のこと。積み立てられた資金は、債券の買入消却もしくは償還金に充てられる。

減債積立金

減債積立金とは、社債などの長期負債の返済に備えるための利益留保のこと。任意積立金の一種であり、株主総会の利益処分によって留保される。


これだけだといまいち違いが分からないかもしれません。両方の仕訳は以下のようになります。


減債基金はお金(当座預金)を出して用意する資産側です。それに対して減債積立金は純資産(繰越利益剰余金) を引いて用意する純資産となっています。つまり実際に償還用のお金を用意するのが減債基金。純資産を減らして配当金などに回らないようにするのが減債積立金というわけです。この二つを組み合わせることで、確実に償還が出来るようになるのです。

退職給付会計をスッキリ理解しよう

退職給付会計は教科書を読んでいて、理解しにくいなと感じた分野の一つです。思ったのが、教科書だと問題に解答する部分しか解説していないから全体が把握しにくくなっているんじゃないかということ。なので簡単な例を作って、全体を書き出してみました。

(例)10年間働いて、10年後に1万円の退職金をもらう。割引率(利子率)は5%とする。


最終的に欲しいのは10年後の1万円です。それを10年かけて積み立てていきます。例えば1年目の645円。これを5%で複利計算すれば、1,000円になります。黄色で塗りつぶした部分は全て同じ考えで計算しています。毎年、10年の時点で1,000円になる額を積み立てているわけです。この部分のことを勤務費用と言います。それ以外の、利子で増えている額の分は利息費用と言います。 例えば9年目にかかる勤務費用は952円、利息費用は363円です。

■年金資産

退職給付会計では年金資産という言葉が登場してきます。ここで言う年金資産とは、退職給付金として加えるために設定された運用資金のことです。上の9年目の例で言うと、必要な退職給付費用は勤務費用952円+利息費用363円=1,315円となります。そして年金資産から得た運用収益が100円だったなら、1,315円-100円=1,215円が最終的な退職給付費用となるのです。以下は5年目を例にしてみました。

年金資産時価とか新しく出た数値は、問題では情報が提供されると思います。内容の説明ですが、前期末年金資産時価と期待運用収益は上で述べた通り。退職給付費用の足しにするための資産ですね。続いて年金掛金拠出額ですが、これは年金運用のためにお金を積み立てるものです。そして年金支給額は実際に年金から退職給付のために出した額のことです。退職給付のために出したお金なので、年金資産と退職給付債務の両方から控除します。一時金支給額とあるのは、退職一時金を支払うという意味です。ここから貸借差額で算出される金額が、退職金として会社が用意しなければならないお金、つまり退職給付引当金となるわけです。

勤務費用784円+利息費用149円=903円が退職給付費用です。

■数理計算上の差異

物事は予定通りに行かないもの。最初に設定していた額と、現在の額とが違っているということがあります。それを数理計算上の差異と言います。上の例では退職給付引当金が2,500円になりましたが、計算しなおしたら2,800円(実際の当期末退職給付債務4,000円、実際の当期末年金資産時価1,200円)だったとします。そこで300円の差異が生まれているということです。この300円の扱いは問題文で指示があります。定額法(平均残存勤務年数5年で計算)で費用処理した場合、300円÷5年=60円を加算して、退職給付引当金2,560円、退職給付費用963円となります。

勘定ひとつひとつの目的をおさえておけば、けっこう簡単に理解出来るんじゃないかと思いました。

2012年9月29日土曜日

金融資産の譲渡とリコース義務 あと回収サービス業務資産について

ある日ミクさんが町を歩いているとちょうどいいカモ、ではなく友人のハクを見つけました。ミクさんは自分が持っている債権1,000円をハクにうまいこと言いくるめて2,000円で売ろうと思ったのです。

「ねえハク。実は私、債権を持ってるんだけどこれが値上がりしそうなの」
「へえ、すごいねミクさん。ただでさえ天使なのに、資産運用までばっちりだなんて」
「でもね、私ちょっと急ぎでお金が必要なの。そこでお願いなんだけど、私の債権1,000円を2,000円で買ってくれない?」
「ええー、2,000円は高いよう」

さすがに1,000円を2,000円でというのは難しいのでしょうか。しかしそこはさすがミクさん。ハクの弱音を見越してすかさず食い込みます。

「大丈夫よ。実はね、私の持ってる債権はこれからぐっと値上がりするの。どうしてかって言うとマクロ統計のスキューがアナリスト的にアルファで米国雇用統計と日本の鉱工業指数が金融政策に影響して公定歩合がうんたらかんたら」

難しい単語の連発でハクの意識はもうろうとし、気付いたらミクの言葉にうなずき返してしまいました。ミクはにやりと笑いました。

「じゃあこれで契約成立ね。いちおうリコース義務と買戻権を設定しておきましょう」
「りこおすぎむ? かいもどしけん?」
「リコース義務っていうのは、債権が回収出来なかったりした時に私(ミク)があなた(ハク)から買い戻してあげる義務のことよ。それと買戻権ってのは、私(ミク)があなた(ハク)から買い戻せる権利ね。どっちも私が買い戻すことに変わりはないけれど、状況が違うということよ。あなた(ハク)にとってリコース義務は、わたし(ミク)に買い戻させる権利。買戻権は買い戻しを許す義務といったところね」

ちなみにリコース義務の時価は200円、買戻権の時価は100円となりました。よって仕訳は以下のようになります。


「あ、でもどうしよう」

ハクの気が変わったのかと思い、ミクさんはぴくりと反応しました。しかしそれは杞憂だったようです。次の言葉を聞き、ミクさんはさらに邪悪な笑みを浮かべるのでした。

「債権とか買っちゃって、私どうやって回収したらいいのか分からないわ」
「なんだそんなこと。安心して、私が代わりに回収してあげるから」
「ほんと?」
「もちろんよ。じゃあ、回収サービスの時価は債権の4割くらいにしとくわね」

この時ハクは、これがビジネスの話であることに全く気付いていませんでした。ミクは債権1,000円の内4割、つまり400円を手に入れたのです。見た目上は債権全てがハクに渡るので分かりにくかったのでしょう。実はこの取引によって債権は二つに分かれたのです。「現金」「買戻権」「リコース義務」から成る部分と、回収サービス業務資産とにです。

・現金2,000円+買戻権200円-リコース義務100円=2,100円
・回収サービス業務資産=400円

この二つに金銭債権1,000円を按分してやると、840円と160円になりました。
(按分方法は1,000÷(2,100+400)=0.4を2,100円と400円に掛けてやります)


これをまとめると、以下のようになります。


ハクは胸のつかえが下りたと言って、意気揚々と帰っていきました。契約って怖いですね。皆さんもご注意ください。

2012年9月27日木曜日

114日目:工事損失引当金

企業会計原則注解

注18 引当金について

(貸借対照表原則四の(一)のDの一項、(二)のAの三項及びBの二項)

 将来の特定の費用又は損失であって、その発生が当期以前の事象に起因し、発生の可能性が高く、かつ、その金額を合理的に見積ることができる場合には、当期の負担に属する金額を当期の費用又は損失として引当金に繰入れ、当該引当金の残高を貸借対照表の負債の部又は資産の部に記載するものとする。 製品保証引当金、売上割戻引当金、返品調整引当金、賞与引当金、工事補償引当金、退職給与引当金、修繕引当金、特別修繕引当金、債務保証損失引当金、損害補償損失引当金、貸倒引当金等がこれに該当する。

 発生の可能性の低い偶発事象に係る費用又は損失については、引当金を計上することはできない。


要するに引当金というのは、発生が予想される損失に対して事前に準備しておきましょうということです。そしてその真の意図は、「費用収益対応の原則」に沿うものと思われます。将来的に実現すると見越しているのはまさに今この時点。だから今のうちに引当金として負債計上しておくことが、財務会計上望ましいんじゃないかな、という話なのですね。

家を建てたり道路工事したりする際に、将来発生することが見込まれる損失をカバーするのが工事損失引当金です。例えば、1億円で受注して3年で完成予定の家があったとします。そして当初9000万円の支出で完成させる予定だったとします。ところが2年目の時点で最終的に1億1000万円はかかってしまうことが判明しました。引当金も何も用意しなければ3年目に1000万円の損失です。まあ、黙ってれば最後までは分かりませんよねって話です。

そう。引当金はなんだかんだで会社の考え方次第。ここで会社側にとって悩ましいのは、果たして投資家側は引当金の計上をどのように受け止めてくれるかという点です。損失を早めに知らせることで信頼を得られるのか。それとも引当金が経営悪化のシグナルになってしまうのか。工事損失引当金の計上は必須ですが、損失の見積もり自体が難しいので、ある程度ごまかしがきくんじゃないかという気がします。

2012年9月26日水曜日

その都度法と期末一括法の違い

酔っ払いによる、その都度法と期末一括法の違いについての説明です。このへんは1回理解してしまえば簡単なところだと思うので、確実に点が取れるようにしておきたいですね。なんとなくで過ごしてしまっている人は、しっかり確認しておきましょう。


上記、決算整理前残高試算表に加えて、期末手許商品200、期首積送品現価100とします。そして委託販売の原価率は80%とします。その上でその都度法と期末一括法は何がどう違うかを確認します。まずはその都度法の場合を考えてみましょう。

■その都度法


その都度法というのは、積送販売が売り上げる都度、その分を「仕入」勘定に回すというものです。なのでまず、積送品売上原価を調べます。積送品売上300の80%なので、240となります。つまり決算整理前残高試算表の仕入500のうち、240は積送品売上原価によるものということになります。よって、500 - 240 = 260 より、一般仕入は260と判明します。そして決算整理前残高試算表の積送品は、そのまま期末積送品となります。まとめると以下の通り。

仕入=一般仕入+積送品売上原価
積送品=期末積送品

■期末一括法


続いて期末一括法を見てみます。期末の決算整理でまとめて原価を仕入勘定へ振り戻すということなんですが、要するに積送販売の全額を積送品勘定に入れてしまえという感じです。期首積送品と積送仕入の和、もしくは積送品売上原価と期末積送品の和が決算整理前残高試算表の積送品となります。仕入勘定はそのまま一般仕入となります。

仕入=一般仕入
積送品=期首積送品+積送仕入=積送品売上原価+期末積送品

2012年9月22日土曜日

109日目:ごめんなさい値引、そしてありがとう割引

値引と割引ってどう違うのか。普段生活している分にはあまり気にしませんよね。まず簿記としてではなく、流通としての違いは値段を「引く」のと「割って引く」という違いです。例えば「10円値引」と言うことはあっても、「10円割引」と言うことはありません。逆に「10%割引」と言うことはあっても「10%値引」と言うことはありません。もしあったら、それは言葉の誤用。馬鹿だなあと冷たい視線を送ってあげましょう。

「引く」にせよ「割って引く」にせよ、一般消費者からすればどっちでもいいかもしれません。商品が安くなるということが重要なのであって、どのように安くなったかはそれほど気にする必要がないからです。しかし、簿記の世界において値引と割引は全く異なる概念だということを理解しなくてはなりません。

値引とは商品の品質が劣化していたとか一部破損していたといった際に値段を下げることを言います。なので「ごめんなさい値引」です。辞書では「大量購入によるコスト削減」なんかも値引の一種としていますが、簿記においてはこれを割戻しと言います。簿記の処理として値引と割戻しは似たようなものなので「売上値引・割戻し」「仕入値引・割戻し」といった勘定が使われています。

それに対して割引は、早めに支払ってくれた相手に、そのお礼としていくらか安くしてあげましょうというもの。「ありがとう割引」です。値引との大きな違いは、時間という価値にあります。簿記1級を勉強していれば「現在価値」という言葉が出てきますよね。1年後の1万円は金利1%で、およそ9901円の現在価値を持っているというやつです。大事なのはお金というのは時間によってその価値を変えるということです。その時間価値を踏まえて商品価格を安くするので、これはれっきとした金融取引になります。そのため仕入割引は営業外収益売上割引は営業外費用として損益計算書上に載ってくるのです。似た言葉に惑わされず、値引と割引は完全に別のものと思った方が良いかもしれません。

説明を分かりやすくするために「ありがとう割引」なんて言いましたが、現実的には「やってくれたな割引」くらいになります。例えば金を貸す側は、お金はゆっくり返してもらった方が儲かります。それをちゃっちゃと支払われてしまっては、利子があまり取れません。金融の世界にはモーゲージ証券なんていうのがあります。それは住宅ローンを担保にした証券なんですが、早期償還されるのはリスクなんです。金貸しが一番喜ぶ客は借金し続けてくれる客です。クレジットカードでリボルビング払いなんかしている人は最高の上客ですね。

2012年9月16日日曜日

現価係数と年金現価係数

ファイナンシャルプランナーを勉強している人はよくご存じかと思いますが、将来的にお金がいくら欲しいか、そのためにいくら必要かを計算する時に6つの係数を使います。

①現価係数
将来目標のお金を得るために、いくらの元本で複利運用を開始すればよいか

②年金現価係数
毎年一定のお金を得るために、いくらの元本で複利運用を開始すればよいか

③終価係数
元本を複利運用したとき、将来いくらになるか

④年金終価係数
毎年一定金額を複利運用で積み立てたとき、将来いくらになるか

⑤減債基金係数
将来目標のお金を得るために、複利運用で積み立てるとき、毎年いくらずつ積み立てればよいか

⑥資本回収係数
元本を複利運用しながら、毎年一定金額を取り崩していくとき、毎年いくらずつ受け取りができるか

この6つの係数のうち、簿記1級で出てくるのは現価係数と年金現価係数の2つだけです。なのでこの2つの違いをしっかり理解出来れば係数に関する問題はバッチリでしょう。そもそも係数というのは、ややこしい計算問題を簡単にしてくれる便利ツールなのです。なので、元の計算方法を知ることが、理解への早道だと思います。

■現価係数

まずは現価係数について。これは例えば、5年後に1万円が欲しい場合、3%の利率で元手がいくらあれば達成出来るかという計算を容易にしてくれます。以下はその係数表です。

現価係数=1/(1+利率)^年

この係数表から上記の例を調べると、0.8626が係数だと分かります。なので10,000×0.8626=8,626となり、8,626円で毎年3%の運用をすれば1万円になる、ということです。これは逆に言えば、5年後得られる1万円は、割引率3%において、8,626円の価値がある、ということになります。

ちょっとくどいですが、もう少し確認しておきましょう。複利計算というのは、付いた利息も含めて次の運用資金にするということです。なので本当に8,626円を3%で5年間運用すれば1万円になるのかを確認するには、8,626円に1.03を5回かけてやれば良い。

8,626×1.03×1.03×1.03×1.03×1.03=9,999.8981...

係数自体が少数第5以下を四捨五入しているので綺麗な数字にはなりませんが、ほぼ正しい数値が得られることが分かると思います。

■年金現価係数

続いて年金現価係数について確認しましょう。5年間毎年1万円を得るために、3%の利率で元手がいくらあれば良いかという場合を考えてみます。

年金現価係数=(1-((1+利率)^(年×-1)))÷利率

上記の条件に当てはまる係数は4.5797です。よって10,000×4.5797=45,797で、5年間毎年1万円を得るためには、利率3%の運用で、元手が45,797円あれば良いということになります。本当にそうなるのか、確認してみましょう。

1年目:45,797×1.03=47,171 → 47,171-10,000=37,171
2年目:37,171×1.03=38,286 → 38,286-10,000=28,286
3年目:28,286×1.03=29,135 → 29,135-10,000=19,135 
4年目:19,135×1.03=19,709 → 19,709-10,000=9,709
5年目:9,709 ×1.03=10,000 → 10,000-10,000=0

このように、毎年1万円のキャッシュ・イン・フローが得られることが確認できました。簿記1級ではリース会計や減損会計なんかで係数を使った問題が出てきます。計算方法を丸暗記するだけだと、本番で迷った時に苦しむと思います。係数がいったいどういったもので、何のために用意されているのかをちゃんと理解していれば、本番でも落ち着いて問題を解くことが出来るはずです。 

2012年9月13日木曜日

銀行員が知っておきたい会計話

銀行員.comというサイトがなかなか面白いのでご紹介します。名前の通り銀行員向けのサイトです。普段あまり意識しない全国地銀のニュース一覧などがまとまっていて、自分が知らないだけで多くの人が新しいことにチャレンジしようとしているんだと気付かされます。また、コラムが充実しており、特に会計士の井口秀昭さんが書いている「銀行員が知っておきたい会計話」は簿記を勉強する人に役立つ知識だと思います。試験に直結するかは微妙なところもありますが、深い理解を得たい人は読んでおくと良いでしょう。

例えば、子会社株式を売却した時、個別財務諸表では利益となるのに、連結財務諸表では損失となる場合があります。それがどうしてなのか丁寧に解説してくれています。井口さんは本も沢山出されています。Amazonではどれも高い評価を得ています。ネットで井口さんの文章をいくつか読みましたが、確かに分かりやすい文章を書く人だと思いました。

2012年9月8日土曜日

全部原価計算と直接原価計算の違い

ネットで検索すると、全部原価計算と直接原価計算の違いを説明してくれるところは沢山あります。でもその多くが丁寧な解説を心掛けるあまり、むしろ分かりにくくなっているなあと感じました。僕の理解は簡潔です。固定費を売上のタイミングで計上するのが全部原価計算固定費を最初から計上するのが直接原価計算なのです。簡単な数字で説明しましょう。


【条件】
カップヌードル1個1,000円(原価200円 内 変動費100円 固定費100円)
固定費の基準製造原価3,000円(30個×100円)

■全部原価計算
ここから、カップヌードルを10個作って、5個売れた場合の計算をしてみます。まずは全部原価計算の場合。どんな損益計算書になるでしょうか。

5個売れたので売価を掛けて5,000円の売上。売上原価は売上数5個に変動費と固定費を合わせた額を掛けて1,000円です。原価差異とはなんぞやということですが、これは本気出せば作れた数量を作らなかったために発生した固定費の操業度差異というやつです。絵で見ると分かりやすいので下の画像をどうぞ。


つまり、固定費は3,000円なのに10個の原価だけ見てると2,000円足りてないわけです。それだと困るので、原価差異という名目で差し引いてあげるわけですね。そして上の売上原価を見てもらうと分かるように、固定費が500円計上されないままになっています。売上が立つまで固定費を計上しない。それが全部原価計算なのです。ためしに最後まで売り上げた場合の損益を見ておきましょう。

これで最終的な営業利益は3,000円となりました。この後説明する直接原価計算においても最終的な営業利益は3,000円となります。そのことを記憶に留め、直接原価計算について見てみましょう。

■直接原価計算
その他の条件を全部原価計算と全く同じに損益を確認します。

固定費を売り上げが立つ前から計上しているので、全部原価計算よりも営業利益が低くなってしまいました。このままだと全部原価計算で損益を出した方が有利のように見えますが、これはあくまでタイミングの問題なのです。同様に全て売り切った時の損益を見ます。

営業利益は1,500円+1,500円で3,000円になりましたね。どちらを採用するかは会社の考え方次第というわけです。この結果から、損益計算書を操作しやすいのは全部原価計算と直接原価計算のどちらになるでしょう。

■全部原価計算と直接原価計算の違い
今度は、売れた数等は変えずに、投入量を10個から20個に増やしてみましょう。

全部原価計算の場合

直接原価計算の場合

直接原価計算の営業利益は10個生産した場合と同様の1,500円。それに対して全部原価計算の営業利益は2,000円から3,000円に膨れ上がりました。これはどうしてかと言うと、費用を先送りにしたからです。なので損益計算書上、高い営業利益を出していても棚卸資産が膨れ上がっているような会社は要注意ということです。

まとめ。 固定費を売上のタイミングで計上するのが全部原価計算、固定費を最初から計上するのが直接原価計算。全部原価計算では投入量の増減によって営業利益を操作出来るが、直接原価計算では出来ない。このあたりをしっかり理解して試験に臨みましょう。

2012年9月6日木曜日

マレーシア クアラルンプール旅行の記録(6)

※以下は2010年10月の記録


 ペトロナス・ツインタワーを散策。上の写真は砂絵だ。近づいて見ると細かい砂だということがはっきり分かる。こういった形に残らない芸術は諸行無常を感じさせて、その分美しい。



 タワー中心部。ここからツインタワーに上ることが出来るのだが、残念なことにタイムオーバーとなってしまった。ここに着いた時点ではまだ行けたかもだけど、気づかずにスルーしておりました。まあツインタワーに上ったところで、肝心のツインタワーは観れないのだからまあいいや。

 中は色んなショップが入っていて、日本のBEST電器や紀伊国屋書店、伊勢丹も入っている。最初の日記で韓国が建設した側の塔はテナントが少ないと書いたが、さすがにショッピングエリアは全部埋まっていた。当たり前かw



 中のペナン料理レストランで食べた、ホッケン・ミー。シンガポールでよく食べるホッケン・ミーはドライタイプだが、こっちはスープタイプ。スープは味が濃くて飲みきらなかったが、なかなかの美味。
 その時たまたま近くに日本人女性の方が座られました。かれこれマレーシアには8年(うろおぼえ)住んでいるという、上品な雰囲気の人。女の子の子どもと一緒に晩御飯という感じでした。面白いことに女の子は英語、お母さんは日本語で会話をしている。互いに理解して通じているところが不思議な感じでした。こういう会話は僕もシンガポール人(日本語うまい)としたことがありますが、ここまで自然な感じではありませんでした。
 せっかくなのでお声がけし、なにかいい土産は無いかと質問してみる。ベリーズというチョコレート屋さんを紹介してもらった。少し遠かったのと、他に見たいところがあったので行けなかったが、ネットでマレーシア観光を調べるとよく載っているお店だった。
 最後にその女性には「ありがとうございました」、女の子に「さんきゅー」と言ってお別れ。女の子の照れたような笑顔が超キュート。

 道中、獅子舞を見物。獅子舞よりも女の子の足に目が行く。


 東南アジアトイレ事情。左に移っている蛇口をひねればウォシュレット。もっと田舎に行けば桶で水をすくって尻を洗う。



 クアラルンプール、夜の風景。若者が大勢集まっていて、日本で言う渋谷みたいなところか。


 この後、ちょっとしたトラブル、というかハプニングに見舞われた。朝からずっと歩きとおしだったので、さすがに疲れていたのですよ。そんでホテルの周辺にはフットマッサージが沢山並んでいる。どこがいいのかと色々見てたのだが、どこもたいして変わりなさそう。30分のマッサージが35MYR(875円)。もうどこでもいいかと思ったところに、中国人の小太りなおばさんが声をかけてきた。プレートを見るとやはり30分35MYR(875円)。ならばよし、とばかりにおばさんに付いて行ったのが間違だった。
 おばさんに付いて行くとカーテンで仕切られたベッドに案内される。おばさんは「服を脱いで待ってろ」と言う。仕方なく僕はパンツ一枚で待っていたら、おばさんが戻ってきて「全部脱ぐのよ」と言ってくる。僕は「えー」と思いつつも従い、うつぶせになった。おばさんのマッサージは全身のもので、まあそこそこの腕。ひじでお尻のあたりもマッサージされて、なるほどだから全部脱ぐのかと納得した。
 そんでだいたい10分くらいマッサージされたところで、おばさんが突然耳元で話しかけてきた。「ねえ、スペシャルマッサージはどう?」 僕はちょっと驚いた。スペシャルマッサージというのは想像も容易だろうが、エッチなマッサージのことだ。それを50MYR(1250円)の追加料金でやると言う。正直なところかなり疲れていたし、こんなおばさんは金を貰ってもお断りである。なので「金がないからいい」と答えると、その答え方がまずかった。値段交渉とでも思ったのか、おばさんは「いくらならあるのか」と聞いてきた。こちらは疲労困憊なのだ。疲れ果てているのだ。とにかく金も無い、マッサージを望んでもいない、そういったやり取りが5分くらい続いた。身体を癒しにきたはずが、何故か精神的疲労が増すことに。
 ようやくおばさんが諦めた、かと思ったらもうマッサージもお終いだときた。ふざけんな、こちとら30分普通のマッサージ受けたくて金払ってんだよ! と内心怒り狂ったが、へとへとだったので抗議する気も起きず。そのままさっさとホテルに帰った。

 翌朝撮った、事件現場の写真。要注意である。


 気を取り直して朝ごはん。ナシ・レマ。マレーシアでご飯に外れたことは一度もない。


 名前は日本っぽいが、どう見ても中華料理メイン。


 タイムズ・スクエア内部。


 帰りのバスを待つため、最初に降り立った場所へと戻ってきた。近くのショッピング・モール、タイムズ・スクエアで時間をつぶす。今回の旅で色々と回ったが、個人的にはこのタイムズ・スクエアがおすすめである。お洒落な感じのお店が多く、マレーシアのオリジナリティもある。たぶん、20代から30代の男女であれば同じ感想を持ってくれるのではないかと思う。
 帰りは1時のバス。予約したときはちょっと早いかなと思ったが、結果的には丁度いい感じになった。体力はほとんど尽き、気力だけで動いていた。

 道中、またパーキングエリア的な場所に寄った。バーガーが美味しかったので、またもバーガーを食べた。それで20分くらい経った時点でバスに戻る……、がバスが無かった。

「ちょ、まじでやばい!!!」

 今回の旅で最もあせった瞬間だった。いちおう財布と携帯、カメラは手元にある。だがパスポートはカバンに入れっぱなしだ。どうにかしてバスがシンガポールに入る前に連絡を取らないと、パスポートがシンガポールに入ってしまうかもしれない。そうなると取り残された僕は大変に困る。
 とにかく連絡を取らなくては。幸いに同じ会社のバスは存在する。そこの運転手に僕の窮状を訴えるより他ない。すると運転手はむべなく「このバスは満席だよ」。うっせえ、そういう問題ちゃうわ、このどあほが! と叫びたくなる気持ちを抑えて、なんとか話の通じそうな奴を探す。すると後ろから運転手の顔見知りらしきおっさんがやってきて、話を聞いてくれた。「分かった、ここでちょっと待ってろ」と。ほんの少しだけ安心した。
 するとその少し後、向こうからバスがやってくる。番号を見る。脱力した。僕の乗っていたバスが何食わぬ顔で戻ってきたのだ。車体を見ると水滴がついていたので、どうも洗車してきたらしい。
 普通、そういうことは事前に連絡するだろうと思ったが、他の乗客は特に怒るでもなく普通に乗り込んでくる。なるほどこれは僕がここの常識をまだ理解していなかっただけなのだな。日本のサービスレベルが高すぎるだけで、それをここに求めるのは非常識なのだな。そう言い聞かせて安堵に包まれて眠る。

 そんなこんなでシンガポールに帰ってきた。シンガポールの都会な景色を見るとほっとする。マレーシアのように周囲を警戒する必要はあまり無い。サービスレベルは日本に比べると低いなと感じていたが、マレーシアに比べれば一流だ。

 長々と日記を書いてきた。お付き合いいただいた皆さんに感謝である。KLについて総括すると、「美しくて汚い街」となる。そのままの意味で、清濁ごっちゃになった、まさに発展途上国。人間的な温かさに感謝しつつ、同時に小賢しい田舎者も多い。裏と表の両方が楽しめれば最高の旅となること請け合いだ。さらばクアラルンプール。もうしばらく行くことはあるまい(笑)

マレーシア クアラルンプール旅行の記録(1)
マレーシア クアラルンプール旅行の記録(2)
マレーシア クアラルンプール旅行の記録(3)
マレーシア クアラルンプール旅行の記録(4)
マレーシア クアラルンプール旅行の記録(5)
マレーシア クアラルンプール旅行の記録(6)

マレーシア クアラルンプール旅行の記録(5)

※以下は2010年10月の記録

 いちおう現地で地図も購入したが、微妙にるるぶの方が詳しい。細かい道まで丁寧に書かれている。なのでるるぶの地図をメインに現地地図を併用というかたちで行動していた。
 るるぶによると国立歴史博物館は「1910年に建てられた銀行を利用」したものらしい。当時の建築物はイギリス占領下のいわゆるコロニアル調。コロニアルとか綺麗な単語っぽいけど、言ってしまえば植民地建築。非常に美しいがなんとも複雑な気持ちである。



 最寄り駅のマスジッド・ジャメ駅に到着。すぐ近くにムスリム寺院のモスクが。これまた感動の美しさ。シンガポールで見てたモスクのイメージとは若干違ってました。シンガポールのはどこかずんぐりむっくりしていて、あまり美しくない。


 これはダメよ、という色々な注意書きが。


 どうも派手な服装で入るのは禁止されている様子。その時はちょっと明るい模様のシャツを着ていたので、一応近くの人に「この服、大丈夫ですかね」と聞いてみた。マレー人夫婦に「まあ、いいんじゃないかな」というお墨付き(?)を頂いて、さっそく中に……。と思ったら警備員さんにはばまれる。やっぱり服装がダメだったかと思ったがそうではなく、単に観光客が入れる時間を過ぎてしまっていたとのこと。なので中の様子は全く見れませんでした。残念。

 ともあれ当初の目的である国立歴史博物館に向かう。ムルデカ・スクエアという名前の独立を記念した広場のすぐ近く。
 広場の近くには上に載せた写真のようなコロニアル調の建物が沢山ありました。このあたりとツインタワー周辺だけを回っていたら「マレーシアは本当に美しい国だった!」とだけ感じていたことでしょう。少し裏に入れば薄汚れた町並みということは前述の通りです。
 綺麗だなあと色々眺めて歩いたのですが、どうも肝心の博物館が見つからない。と言うか、どうもそれらしき建物が"改装中”でしかも"レストランの看板”が付けられている……。そして最初に見たはずの博物館の面影がどこを探しても見つからない。地図をよく調べてみる。失敗しました。
 どうやら僕は「国立歴史博物館」と「国立博物館」をごっちゃにしてしまったようです。最初に僕が行ったのが「国立博物館」で、広場近くにあるはずだったのが「国立歴史博物館」。そしてその「国立歴史博物館」は改装中というかすでに廃止となったように見える。

 とは言えこんなことで落ち込んでいてもしょうがない。むしろ綺麗な建物を沢山見れて良かったと開き直り、改めて国立博物館を目指すことにしました。また電車で行こうとしたのですが、ピーク時なのか切符を買うのに長蛇の列だったため断念。とっととタクシーを拾うことに。

 これまでタクシーには数度乗り、値段はだいたい15MYR(375円)~20MYR(500円)。どれもだいたい同じ距離。そんなわけでそのくらいの相場だろうと思っていましたが、今回拾ったタクシーはメーター付き。値段のことは言わずに黙ってメーターに従ってみることにしました。すると結果は驚きの低価格、7MYR(175円)。めっちゃぼったくられてた!(笑) なんとなく低価格で乗せてくれた運ちゃんが不公平という謎の平等感により、10MYR(250円)払って「釣りはいいよ」と言いました。すると運ちゃんにっこり「ありがとう」。いえいえこちらこそ適正価格を教えてもらってありがとうだよ。次に来たら価格交渉はきちんとやろうと決意しました。




 色々ありましたがようやく当初の目的である、国立博物館に到着しました。わき目も振らずに入り口へと向かい、チケットを買おうとすると何故か係の兄ちゃんに止められる。兄ちゃんが言うには「あと30分で閉館」だそうだ。僕が「分かった、とりあえずチケットを買って急いで見るよ」と言うと兄ちゃんはにっこり笑って「いいって。君の分は僕が払っておくよ」と。おお、なんと優しい青年だろう。もちろん払っておくようなことはしないだろうけど、30分しか観れない僕への気遣いであることは間違いない。とにかく時間もないので「さんきゅー」と言って早々に博物館内へと入っていった。

 中はマレーシア地域の原始時代から現代に至るまでの歴史を伝える陳列物が並んでいた。時間もないので細かく見ることは出来なかったが、植民地化以前のものは刀剣が多く並んでいた。それと貴金属。
 占領の歴史が全体の半分くらいを占めていた。まず現れたのがポルトガルで、日本人なら誰でも知っているフランシスコ・ザビエルの名前も載っていました。日本人が案外知らないことだけれど、当時のキリスト教の布教は占領とセットです。住民をキリスト教徒にしてしまうことで、精神支配をし、植民地支配へと持っていく。そういう背景があるから秀吉のバテレン追放令があって、江戸時代の島原へと繋がっていく。
 ちなみにもうちょっと詳しく話すと、当時の宣教師たちは日本人を本来の意味でのキリスト教徒にすることを諦めています。と言うのも日本には神道が根付いていて、たとえキリスト教徒になっても仏や神道における神への畏敬は消え去らなかった。キリスト教は一神教なので、他の宗教は自動的に邪教になるはずだけれど、そういうのが全く通用しない。それが日本だったのです。だから宣教師たちはそういった特殊なメンタリティを許容した上で、キリスト教を広めることにしたそうです。

 日本のマレーシア占領。


 日本は太平洋戦争時にマレーシアを占領しましたが、そのことに関する記述は思ったほどに多くありませんでした。期間としては短いので妥当なのかもしれません。てか展示物が日本刀くらいで、日本が何しに来たのかわりと謎(笑)。以下、日本刀(サムライ・ソード)の説明文。

SAMURAI SWORD
 This Samurai sword symbolizes the chivalry and bravery of Japanese army during the World War 2 (1941-1945).Every Japanese army officer was provided with a samurai sword. This sword was feared by the locals as it was used for beheading.

サムライ・ソード
 このサムライ・ソードは第二次大戦中、日本国軍人の武士道精神と勇敢さを象徴するものでした。全仕官がサムライ・ソードを与えられています。サムライ・ソードは打ち首刑に使用されたため、地元住民にとって恐怖の対象でした。

 せめて「カタナ」と呼んでほしいところ(^^; 今の日本人にとって日本刀は美術工芸品のイメージが強いと思いますが、当時はもっと荒々しいイメージが強かったのでしょうね。実際のところ大戦末期に仕官が持ち歩いていた日本刀は「実用性に於いては究められたものの、刃紋を有しないなど見た目の美的要素は皆無な物が多(Wiki)」かったらしいので、それも仕方ないことでしょう。

 ナジブ・ラザク(Mohd Najib bin Tun Haji Abdul Razak、1953年7月23日 - ) マレーシアの現首相。



 次回、ようやく最終回。マレーシアでショッピングです。

マレーシア クアラルンプール旅行の記録(1)
マレーシア クアラルンプール旅行の記録(2)
マレーシア クアラルンプール旅行の記録(3)
マレーシア クアラルンプール旅行の記録(4)
マレーシア クアラルンプール旅行の記録(5)
マレーシア クアラルンプール旅行の記録(6)